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双頭の悪魔 感想 (有栖川有栖)

2019-07-30

有栖川有栖より、双頭の悪魔です。
これは、学生アリスシリーズと呼ばれるの中の第三作に当たるみたいです。
 
どうも、第2作の事件の影響で、心に傷を負ってしまったヒロイン?役のマリアが、木更村という、芸術家を集めた村から帰ってこないという冒頭からお話がスタートするので、前作から読むべきだったかなあと少し後悔しました。
内容自体は、本編のみで完結するものですので、別段問題ないのですが、私の心情的な問題です。
 
 
さて、久しぶりに本格ミステリを読んだのですが、中々骨が折れました。というのもこの双頭の悪魔は、600頁超えの大作でかつ、読者への挑戦状が3回もあるという、通常の小説2冊~3冊分の内容があるぐらいの代物だったのです。
 私は知性も根性もないため、すぐに読み進めてしまいましたが、非常に論理的でフェアな作りになっていた印象です。
 
 現時点での論理的な分析から、フーダニットだけは分かるので読者はそれだけを考えて欲しい、と第1,第2の挑戦状では、明確に述べられています。これは、逆にこの時点での動機はいくら考えても分からない作りになっていたのが理由の一つにもなっていますね。
 
 

以下ネタバレです。
 
 
 
 
 
 

 本作のトリックを最も簡潔に言い表すと、「交換殺人」ということになります。第1,第2の挑戦状で、動機をいくら考えても分かるはずがないのも当たり前で、それぞれに動機はなかったんですね。本作は、さらにその裏に黒幕がいた、ということになりますが。木更村と夏森村とをつなぐ唯一の橋は当然の如く、失われ、二つのクローズドサークルが出来上がります。まあ夏森村は、下界と地繋ぎなので、すぐに警察の介入がありますが、木更村の方は完全なる孤島。状況と呼応するようにか、木更村に残された、マリアと江神部長側では、緊迫した推理が展開され、夏森村では、アリス達がどこかとぼけたような態度を見せつつも、ロジカルに真相に迫っていくややコミカルな推理が展開され、この二つの事件が対象的なのが印象に残りましたね。二つの事件がやがて、一つの真相へと繋がる方式ですね。
 
 芸術家ばかりを集めた木更村、という設定は、西尾氏のクビキリサイクルを思い出しましたが、双頭の悪魔のパロディだったのかしら。
 
 一つで3度楽しめる、お買い得な作品です。動機は考えずにただ犯人が誰かだけを考えてくれ、と挑戦状で明示するところなど非常にフェアな作りになっていた印象ですね。第1の挑戦状では、被害者の鼻が効かないことと、江神さんの実験から、香水が後を付けるために事前に振りまかれていて、全身に撒かれていたのがカモフラージュするためだ、というところまでは分かったのですが、そこから犯人特定のロジックまではたどり着けませんでした。ただ私みたいなにわかでも、「犯人が誰かだけを考えれば良い」とシンプルにまとめてくれたおかげで、少しは自分で推理することを楽しめた気がします。

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Posted by macho-metool